税金
2017/12/19

家賃収入がある人は、税金をどれくらい払えばいい?計算方法を紹介!

(写真= Rostislav_Sedlacek/Shutterstock.com)
(写真= Rostislav_Sedlacek/Shutterstock.com)
サラリーマンの方は給料にかかる所得税を会社から源泉徴収されているため、税金のことについて普段はあまり意識しないかもしれません。しかし、マンション経営の重要な要素には税金対策があります。融資審査や空室対策、修繕費用など物件の購入や収支に直接かかわることへ目が奪われてしまいがちですが、最終的なキャッシュフローに大きく影響するのが税金です。ここでは「家賃収入に対して税金がどれくらいか?」「どのような手続きが必要か?」「節税方法は?」などについて紹介します。税金の額と手続きの流れについて、おおよそのイメージがつかめるようになっておきましょう。

所得税の基本を再確認


個人で物件を取得し、そこから家賃収入を得ると、所得税と個人住民税がかかります。所得税は計算方法の違いで10種類に区分され家賃収入は、その中の不動産所得です。

・ 個人名義の物件
所得税・個人住民税(不動産所得)がかかる

・ 法人名義の物件
法人税・法人住民税がかかる

今回の説明は主に不動産所得における所得税の計算方法の基本的なところを解説します。所得税は、毎年1月1日~12月31日分を1年分の所得の合計に規定の税率を乗じて算出されます。確定申告が必要な場合は、所得があった翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をすることが必要です。源泉徴収されているサラリーマンの場合、給与以外の所得が20万円を超えると、確定申告をしなければなりません。

所得税の課税方法は主に総合課税と分離課税へ分けられます。総合課税は区分ごとに計算したものを合算して税金を計算するものです。給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得、一時所得などがあります。所得税の原則的な計算方法です。所得を合算することを「損益通算する」といいます。

主な総合課税の対象
所得税の種類
給与所得 サラリーマンやパートなどの給与
事業所得 自営業者の事業利益
雑所得 FXの売買利益、講演料など
一時所得 競馬の払戻金、保険の満期返戻金(契約による)
不動産所得 家賃収入

しかし、分離課税では個別に納めるべき税額を計算します。利子所得や山林所得、不動産を売却したときの譲渡所得などが含まれます。

主な分離課税の対象
所得税の種類
利子所得 預金利息
山林所得 木を伐採して売る、木を植わったまま売る
譲渡所得(不動産) 保有している賃貸マンションの売却利益、株式の売買など

つまり、総合課税の不動産所得(家賃収入)は、分離課税の譲渡所得(物件の売却損益)と通算することができません。そのため、個別に計算することになります。しかし、総合課税の給与所得(給料)や事業所得(個人事業主の収入)とは合算可能です。もし賃貸経営が赤字になったとしても、給与所得から発生する税金を減らすことができるので、赤字の分は給与所得の所得税分の一部を節税することができます。

ただし、最初から赤字による節税だけを狙うのはナンセンスでしょう。なぜなら、マンション経営の赤字による税金の減少が、赤字自体を上回ることはありえないからです。中には節税と将来の年金代わりになることをうたって、もうからないマンションを売る業者もいるので、甘い言葉に惑わされないように注意してください。赤字になることが最初からわかっている物件を不動産投資として買ってはいけません。

不動産所得の計算方法


不動産所得は次のように計算します。

・ 収入-経費=不動産所得

収入には家賃のほか、共益費や賃貸借契約の更新料、礼金、返す必要のない保証金、名義書換料なども含めます。経費には家賃収入を得るために直接かかった費用を計上でき、具体的には次のようなものがあげられます。

・ 賃貸物件の固定資産税、都市計画税
・ 火災保険や地震保険などの損害保険料
・ リフォームや大規模修繕などの修繕費
・ 管理会社に支払う管理費
・ 減価償却費(建物の代金を複数年に分けて経費に計上すること)
・ 借入金の金利
など

経費は個人的に消費した「家事上の経費」と明確に区分する必要があります。例えば、自宅の電話を不動産管理会社や仲介会社とのやり取りにも使っているからといって、全額を不動産所得計算上の経費とすることは基本的に認められません。通話記録を保存し、マンション経営のために使った部分のみを経費とするのであれば認められる可能性は高いといえます。家賃収入を得るために必要だったという客観的な証拠が必要なのです。

例えば、Aさんは1棟マンションを持っているとします。3月に1部屋退居があり、6月に埋まって満室となりました。収支については下記の表のとおりです。
 
(単位)
万円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
家賃 30 30 30 20 20 30 30 30 30 30 30 30 340
礼金 0 0 0 0 0 20 0 0 0 0 0 0 20
更新料 0 0 20 0 0 0 0 0 0 0 0 0 20
返済 14 14 14 14 14 14 14 14 14 14 14 14 168
うち利息 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 24
管理費 2 2 2 1 1 2 2 2 2 2 2 2 22
修繕費 0 0 0 0 20 0 0 0 0 0 0 0 20
他費用                         30
償却費                         120
青色申告特別控除(後述します)は10万円と仮定します。

このケースにおける不動産所得の計算は次のようになります。

・ 収入
家賃340万円+礼金20万円+更新料20万円=380万円

・ 経費
ローン返済のうち利息24万円+管理費22万円+修繕費20万円+他費用30万円+減価償却費120万円=216万円

・ 所得(収入-経費)
380万円-216万円-青色申告特別控除10万円=154万円

そのほか、この年のAさんの給与所得、社会保険料控除その他控除額など不動産所得と直接関係ない所得は500万円と仮定すると総合課税における税金は次のように計算します。

・ 所得×税率-控除額(速算表を参照)

所得税率は所得金額が多ければ多いほど上がる累進課税です。

<所得税の速算表>(2017年時点)
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 9万7,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円
出典:国税庁ホームページ

・ 不動産所得と給与所得などの所得金額合計
154万円+500万円=654万円

654万円の所得の場合、所得税率は上記速算表の「330万円を超え695万円以下」となり20%、控除額は42万7,500円です。

・ 不動産所得と給与所得の合計所得の所得税計算
654万円×20%-42万7,500円(控除額)=88万500円

仮にマンション経営をしていない場合の所得税は次のとおりです。

・ 給与所得のみの所得税金額
500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円

よって、Aさんはマンション経営をすることによって、次の所得税を支払うことになります。

・ マンション経営をすることで増えた所得税の金額
88万500円-57万2,500円=30万8,000円

※次のようにも計算できます。

不動産所得154万円×税率20%=30万8,000円

また、所得税のほかに住民税もかかります。自治体によって異なりますが、おおむね所得の10%です。

・ 不動産所得部分の住民税
154万円×10%=15万4,000円

つまり、不動産所得で所得が増えた分、所得税で30万8,000円、住民税で15万4,000円が増税となり、合計で支払う税金は46万2,000円となります。ちなみに、この年のキャッシュフローは次のとおりです。

・ 現金収入
家賃340万円+礼金20万円+更新料20万円=380万円
(税金計算上の収入と同じ)

・ 現金支出
ローン返済168万円+管理費22万円+修繕費20万円+他費用30万円=240万円
(経費との違いは、ローン返済の元本部分と減価償却費)

・ キャッシュフロー
380万円-240万円=140万円

わからない場合は、税理士などの専門家に相談して、しっかりとシミュレーションをしたうえでマンション経営を行うことをおすすめします。

節税対策には必要経費の見極めが大事


所得は少なければ少ないほど支払う税金が減りますが、赤字は避けたほうがいいでしょう。今後の融資に影響を及ぼす可能性が高いからです。直近の成績が黒字になっているかどうかは、金融機関の融資審査における重要なポイントといえます。

しかし、節税を考えるうえで、所得はなるべくおさえたいものです。そこで、経費として計上できるものを見落とさないことが重要になります。前述した電話代の例のように、家賃収入を得るために必要であったことが証明できれば、所得から差し引き経費とすることができるのです。

例えば次のようなものは、計上できる可能性があります。
・ 管理会社との人間関係づくりのための手土産代、飲食接待費
・ 物件を内覧するための交通費
・ 入居者募集チラシや帳簿などの印刷費
・ マンション建て替えのための立ち退き料

何をどの程度計上できるかは、個別の事情で変わってくることがあります。やはり迷ったら所轄の税務署や税理士へ相談しましょう。

事業として行う場合の不動産所得


不動産所得は、一定規模を超えた「事業として行う貸し付けの不動産所得」と「そうでない不動産所得」に分けられます。事業として認められると、次のような特典があります。

・ 事業でない不動産所得の青色申告控除額は10万円、事業の場合は65万円
・ 家族を従業員として支払った給与を事業の場合は経費に計上でき、事業でない場合はできない(青色事業専従者給与)
・ 前年まで収入に含めていた家賃が滞納されて回収できなくなったとき、事業の場合は回収できなくなった年の経費に計上可能
・ 事業でない場合は、確定申告をやり直さなければならない(更正の請求)
・ 建物の取り壊しなどで損失をこうむったとき、事業の場合は赤字を損益通算できるが、事業でない場合はできない

後半は細かい内容かつ、場面が限定されるので詳細は割愛しますが、青色申告控除の額と専従者給与は活用すれば大きな金額になり、節税効果も高いといえます。事業として認められる規模とは次のいずれかにあたる数を賃貸用に保有していることをいいます。

・ 区分所有マンションやアパートは10室以上
・ 戸建てや1棟ものは5棟以上

個人名義で物件を買い進めていく方は「不動産所得が事業であるかどうかの差」に注意しましょう。

住宅ローン減税が使えない理由


サラリーマンの方の中には、住宅ローン減税の適用を受けるため、確定申告に慣れているという人もいるでしょう。ローン残高の1%が税金から減額されるので、適用できるならとても大きな節税になります。「同じ不動産購入用のローンなのだから、マンション経営でも使えるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、住宅ローン減税は賃貸経営用のローンであるアパートローンで使うことはできません。理由は単純で、「自己の居住の用に供した場合」にしか認められないというルールだからです。ただ、不動産投資で住宅ローン減税が使える場面が全くないわけではありません。賃貸併用住宅の場合、床面積の半分以上が自己使用部分であれば、自用に相当する部分のみ適用可能です。

例えば、各階の床面積が同じ3階建てのアパートで、1階と2階を自宅として、3階を貸しているとします。融資は住宅ローンを使い、残高は4,500万円だとすると、3分の2である3,000万円に対して1%が減税額になります。注意が必要なのは、結局、賃貸用の物件に関するローンは住宅ローン減税の対象とならないことです。

確定申告の方法


税金の額を計算し、税務署に報告、支払いを済ませることを確定申告といいます。毎年1月1日~12月31日までの所得分を、翌年2月16日~3月15日の間に税務署へ申告を行います。マンション経営をはじめた段階で事前に税務署に届けることで、青色申告特別控除の適用が可能です。

青色申告特別控除の適用条件は企業が行っているように帳簿をつけたり決算書を作ったりすることです。それらを行えば、所得から一定額を控除として差し引くことができます。前述のとおり、事業的規模で行う場合に最高65万円、そうでない場合に10万円を所得から控除できるため、大きな節税が可能です。

確定申告の手続きは、税務署で申告用紙をもらって手書きやパソコンで記入する方法と、インターネットを通じて行うe-Taxがあります。後者は外出する手間も窓口での待ち時間もかからず、税務署が開いていない深夜にも申告可能です。しかし、e-taxの手続きの際は、カードリーダーやマイナンバーカード・住民基本台帳カードが必要になります。

マイナンバーカードや住民基本台帳カードは電子証明書が組み込まれているものが必要です。カードがない場合は、お住まいの自治体で作成しましょう。また、カードリーダーの値段は約2,500~3,000円で家電量販店やネット通販などでも購入できます。

不動産投資の物件数が増えていくと、帳簿をつけたり領収書などの証明書を保管したりすることも増えていくため、管理が大変になってきます。はじめのうちは勉強のために自分で行うことも良いですが、基本的には専門家の税理士事務所へ委託するのがいいでしょう。

顧問料と記帳代行料で、それぞれ月額1~3万円程度、確定申告の代行料は5~10万円程度が相場といったところです。そこまで払えないという人は会計ソフトを使って自分で帳簿管理をすることもおすすめといえます。無料で利用できるものや、月額1,000円程度から使えるものもあり、経理に詳しくない人にもわかりやすく工夫されているので重宝するはずです。

家賃収入があることを会社にばれない方法


給与以外の収入があることを会社に知られたくないという人もいるかもしれません。結論として、会社にばれるかどうかは一概にはいえません。勘のいい給与計算担当者なら、気づく可能性があります。

住民税は前年の所得をもとに源泉徴収するので、自治体から各人の住民税額の知らせが会社宛に届くのです。そこで会社の担当者が「給与から考えたら、この住民税は多すぎる」と気がつく可能性があります。ただ、住民税への指摘については担当者のセンスにより異なります。そのため、あまり心配する必要はないでしょう。

また、会社にばれたくないと思うのは「副業禁止規定にひっかかるかもしれない」という懸念によるものかもしれません。副業禁止規定がある会社でも、家賃収入を副業とみなすことは考えにくい傾向です。なぜなら、相続により、やむをえず不動産のオーナーになる人もいるからです。どうしても不安だという人は上司や人事担当者に相談してみてください。なお、次の「法人成り」を会社にばれないための対策として使う人もいるようです。

法人成りはいつ?


不動産投資の物件数が増え、所得が給与並みになってきたら法人設立を検討しましょう。一般的に、年間の所得が800万~1,000万円を超えてきたあたりが法人成りの目安といわれています。その理由は、所得税の速算表にあります。法人税の税率は所得の額にかかわらずおよそ30%ですが、所得税の税率は所得900万円を超えると33%になるのです。

法人化することによって、経費に計上できる範囲も増えます。例えば、自動車の購入費用やガソリン代を経費にするためには、個人の不動産所得の場合は賃貸経営のために利用したことが証明できなければなりませんが、法人名義で購入すれば減価償却費も維持費も法人の経費になります。

ただし、利益が出ても赤字でもかかる法人住民税の均等割(年間5万円~)や設立の手続き費用(株式会社で20万円~)がかかります。メリットとデメリットをよく考えて検討してください。

家賃収入に関する税金計算は複雑かつ重要


個人名義の不動産から発生する家賃収入は不動産所得に分類されます。サラリーマンの場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告しなくてはいけません。今回はざっくりと事例をあげて計算したところ、所得税と住民税の合計は年間キャッシュフローのおよそ3分の1になりました。

最終利益に対する税金の割合は大きいものです。そのため、税理士のような専門家と連携し、収支計画の作成や節税対策をおすすめします。加えて、手続きの手間を削減するために帳簿づくりを依頼してもいいでしょう。

節税のポイントは経費を把握し、不動産所得に必要であることの証拠を保存したうえで計上することです。また、所有物件が増えて所得が大きくなるようであれば、法人設立をすることも節税につながります。法人化の検討にあたっても、専門家の意見が役に立つでしょう。税金の仕組みや流れをしっかりと把握したマンション経営で、キャッシュフローを最大化してください。
 

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