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2018/05/25

土地や建物がこんなに安い?不動産競売のメリットとデメリット

(写真=Freedomz/Shutterstock.com)
(写真=Freedomz/Shutterstock.com)
「競売」というとマイナスなイメージを持つことが多いかもしれません。たしかに、過去には競売がからむ陰惨な事件も発生しています。しかし、土地や建物を安く取得する方法として選択肢のひとつとして考えてみるのもいいのではないでしょうか。今回は、裁判所が行う不動産競売の特徴や手続きの流を解説しますので、収益不動産を手に入れる手段として参考にしてください。

不動産競売とは?

「借金のカタに家をとられる」……生活が困窮することの例えとして慣用的に使われている言葉です。返済を滞納して競売を申し立てられ、落札されてしまった人が思い浮かびます。競売(きょうばい)は広い意味では商品を買いたい人が買値を提示するオークションのことを指しますが、通常「不動産競売(けいばい)」といえば、裁判所が民事執行法にもとづいて入札式で不動産を売却することを表します。

物件を買う人の立場で見たときの不動産競売の特徴としては、「価格が安い」「通常は市場に出回らないような珍しい物件がある」「売買の流れが通常とは大きく異なる」ことが挙げられます。それに加えて、裁判所が行うものなので、詐欺や手続き上の不備に会う可能性が限りなくゼロに近いというメリットもあります。

不動産競売で買値を提示することを「入札」といいます。入札・買受は個人・法人、住んでいる地域を問わず、誰でも行うことができます。かつては反社会勢力がひしめいていたようですが、民事執行法の改正により、だいぶ落ち着いているようです。

競売はなぜ安いのか

不動産競売で買うと通常の市場で買うよりもどれくらい安いのでしょうか。結論からいうと、市場価格の4割程度になることがあります。実際には7~8割程度というのが一般的でしょう。「なぜこのような価格になるのか」について価格決定の仕組みを説明します。

不動産競売では裁判所が「だいたいこれくらいで売れるだろう」と考えている「売却基準価額」が設定され、その8割以上の価格で入札することができます。ネットオークションのような「1円スタート!」とうたって注目を集めようとするものは基本的にありません。実際には1円で競売に出されている物件はけっこうあるのですが、ちゃんと理由があります。

売却基準価額は、不動産鑑定士が鑑定して、市場価格を算出。それを競売減価で調整します。競売減価とは、後述の「競売によるデメリット」を考慮した価格にするということです。この競売減価は鑑定価格の3~5割にのぼることがあります。もし売却基準価額が競売減価によって5割引になれば、買受可能額はその8割なので、5割×8割で4割ほどの価格で買えることがあるのです。

ただし、あくまでも可能性の話です。最低の入札額である買受可能額で入札しても、その価格を上回る入札があれば、当然買うことはできません。実際に、競売に参加しているのは不動産業者がほとんどです。彼らは住居や収益不動産として再生して売るプロになります。リフォーム代と利益を2~3割乗せるため、だいたい市場価格の7~8割で落札することが多い傾向です。

実際の入札は一発勝負です。自分が「この物件にはこれくらいの価値がある」と思った価格を提示し、1円でも他を上回れば買受ができます。反対に、安すぎる価格を提示しても他に入札があったときに買うことができません。

競売のデメリット

競売を普通の不動産取引と同じように考えて入札すると痛い目を見ることになるかもしれません。不動産競売には主に次のようなデメリットがあります。

●内覧ができない
法律上はできるようになっていますが、場面が限られているため、実質的には内覧ができないといっていえます。

●残置物がある可能性
不動産競売は、借金などのお金が払えずに不動産が手放されるときに行われるものです。買ったときには、夜逃げ同然に、生活感そのままがそのまま残っているということがあります。衣類や白物家電、家具などがすべて置きっぱなしになっていることすらあるのです。これらは不動産に対して動産と呼ばれますが、競売の対象ではありません。

そのため、所有権は前の持ち主にあるわけです。無断で処分することは不法行為にあたり、損害賠償を請求される可能性があります。正規の手続きを踏んで対応しなければなりません。具体的には、前の所有者を探して返したり、処分をする旨に書面で同意してもらったりします。動産の所有者と連絡がとれない場合は、裁判所に強制執行を申し立て、執行官の立ち会いのもと、荷物を搬出します。

そして、一定期間が経過したのちに売却されるのですが、執行官への手数料や搬出にかかる費用、保管費用などは落札者が負担することになります。家ごと1件引っ越しする以上の費用がかかることがあるわけです。残置物の処分にかかる手間と時間、費用は、競売のリスクの中でも大きいものです。

●人から引き渡しを受けることができない
通常の購入であれば、決済と同時に引き渡しを受け、鍵をもらい、建物に入ることができます。しかし、競売の場合はそもそも売り主との交渉がなく、玄関の鍵は自分で付け替えなければなりません。また、重要事項の説明をしてくれる宅建業者がいるわけではありません。

内覧も基本的にできないため、競売で落札しようとする人は、裁判所が発表している書類を頼りに、自分の責任で決断しなくてはならないのです。瑕疵担保責任も追求できません。競売は、何かあったときに責任を追及できる「誰か」がいないのです。

●落札した物件に「誰かいる」可能性
落札代金を納付し、晴れて不動産が自分のものになったので、中を見てみようと現地に行ったら、何者かが住んでいる……競売ではこのようなことがありえます。元の所有者は、自分の意思で不動産を売却しているわけではなく、ローンが返せないなどどうしようもない理由で手放さざるを得なくなった人です。

引っ越しするお金もなく、そのまま住みついていることも可能性として充分あります。立ち退きには、購入者が引っ越し費用を負担することでスムーズにいくケースもあります。また、家賃をもらって引き続き住まわせるという選択肢もあるでしょう。落札した収益物件に入居者がいる、いわゆるオーナーチェンジの場合は、契約書を巻き直してそのまま賃貸し続けるのもいいでしょう。

もし退居してもらいたいのであれば、半年以内に出ていってもらうことができます。引っ越し費用、いわゆる立ち退き料を加えると、結局割高になってしまうということがあるので、購入には注意が必要です。

どのような物件があるのか

実際に「どのような物件が競売にかけられるのか」は、関心があるところでしょう。基本的には「何でもアリ」です。一戸建てや区分マンションなどはよくあり、店舗やアパートも売却されています。1棟もののマンション・アパートは少ないのですが、まったくないわけではありません。

一般的な不動産屋であまり見られないものとしては、工場や山林、共有の持ち分のみの売却、道路や側溝、農地(基本的に買えるのは農家のみ)などもあります。転貸されているものや賃料が払われていないもの、隣地との境界が確定されていないなど、権利関係の複雑なものもあるので、入札には最新の注意を払うことが重要です。

そのかわり、通常の物件情報では見られないような不動産が出てくるのが面白いところです。収益物件はあまり多くはありません。不動産投資の物件購入を目的に競売を利用するのであれば、戸建てや区分マンションが中心になるでしょう。

競売の仕組み

なぜ不動産競売で扱われる物件がバラエティ豊かなのかというと、その仕組みに理由があります。競売には担保不動産競売と強制競売の2種類があり、多く行われているのは前者です。前者はあらかじめ設定した抵当権にもとづいて実行するもので、ローンが払えなくなったときなどに債権者が申し立てます。

後者は裁判で受けた支払命令や担保のない借金への返済が滞ったときに行われるものです。申し立て人は、支払い義務が果たされないときに、債務者が持っている不動産を売却してお金に変えることによって回収しようとします。そのため、通常は不動産業者が扱わないようなものまで何でも売りに出されるというわけです。

競売の情報はどこで知ることができる?

現在入札可能な競売物件の情報や入札の結果は、公式の不動産競売情報サイトで知ることができます。

http://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/

また、一般社団法人不動産競売流通協会が運営する981.jpも物件の情報が閲覧できますが、検索機能が充実してこちらのほうが見やすいかもしれません。

http://981.jp/

物件の情報は、「3点セット」に集約されています。3点セットとは「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3つをまとめたもので、上記のサイトでまとめてダウンロードが可能です。地方裁判所の閲覧室に行くと、3点セットをまとめたファイルを見ることができます。

裁判所では、上記サイトにはない「配当要求終期の公告」も見られます。物件が競売にかかることが始めて発表される書類なので、不動産業者や貸金業者がこれを調べて営業をするということがよくあるようです。

競売でローンが組めるのか

ローンを組む難度は、通常の売買よりも高いといえます。なぜなら、落札することが確実ではないため、金融機関が敬遠する可能性が高いからです。

競売の流れ

落札する側の立場から、競売の流れを追ってみましょう。

●公告
裁判所とBITで3点セットが公開され、入札のスケジュールなどを確認できるようになります。公告からおよそ3週間後に入札が開始されます。

●入札期間
およそ1週間の間、入札を受け付けます。入札の際には、売却基準価額の2割相当の保証金を現金で支払わなければなりません。細かい方法は裁判所によって異なりますが、基本的には裁判所の窓口に出向いて手続きをします。裁判所に電話で書類一式を取り寄せ、保証金を振り込むことによって遠隔地でできることもあります。

●開札
入札締め切りのおよそ1週間後、裁判所で入札された内容を読み上げる開札が実施されます。発表されるのは、最高価額入札者と次順位買受申出人の氏名です。次順位買受申出人とは、2番目に高い入札額を提示した人で、最高価額入札者が代金を用意できなかったなどの理由でその資格を失ったときに、購入できる権利を持つ人のことです。

●売却決定
開札のおよそ1週間後に落札者が決定します。通常は最高価額入札者が落札者です。それから1週間、債務者から不服の申し立てがなければ、買受が成立します。正式に買受人(購入者)が決まったら、裁判所から書類と代金の納付書が届くという流れです。入札額から保証金を差し引いた残代金と登録免許税の支払いを済ませ、書類を返送すると、購入の手続きが完了します。

●登録が完了
通常の売買だと司法書士に登記の手続きを頼むことになりますが、競売の場合は裁判所が法務局に手配してくれるため、名義変更に関して買受人がすることは特にありません。手続きが完了したら、登記識別情報(かつての「権利書」)が送られてきます。これで不動産が正真正銘自分のものになったわけです。

特別売却とは

入札期間内に有効な入札がなかった場合には特別売却によって競売が実施されます。方法は裁判所によって異なりますが、ほとんどが先着順です。開札日まで結果がわからない通常の入札よりも、「買えるかどうか」がその場でわかる特別売却を好む人もいます。このような性質上、郵送では難しく、直接出向かなればならない裁判所がほとんどです。

競売はどのような人に向いた購入方法か?

競売には価格が安いというメリットがある反面、多くのデメリットやリスクもあります。すべての人におすすめできるわけではありません。3点セットから複雑な権利関係や公法上の規制(建築基準法や都市計画法など)を読み解き、またはそのリスクを察知する力、リフォームや明け渡しにかかる費用を見積もる力が必要でしょう。

これらの能力に自信がないという人でも、プロのサポートを受けることができます。不動産業者の中には落札の手続き代行や適度な入札額の見積もり、残置物の撤去などのサービスをしているところもあります。料金は落札代金の3%+実費と、仲介手数料と同じような料金体系をとるところが一般的です。

任意売却とは?

競売とよく比較される売却方法に任意売却があります。ローンの残高に満たない価格で物件を売却することは抵当権があるために通常できないのですが、債権者(銀行など)と交渉し、抵当権を外してもらって売却するのが任意売却です。滞納したときに、競売にかかる前に処分する手段として、また市場価格に近い金額で売る方法としても知られています。

物件を買う側の立場としては、任意売却もまた、通常の市場より安価に買えるとして知る人ぞ知る方法です。

リスクもあるが安く買える不動産競売

不動産競売による購入のメリットは、裁判所から買うという安心感や価格の安さ、物件の豊富さなどが挙げられます。デメリットは、内覧ができなかったり、残置物の撤去や立ち退きにお金がかかったりする可能性があることなどです。

このようなデメリットを克服するためには、法律関係や不動産の知識を身につけるという方法もありますが、手っ取り早いのは業者にサポートしてもらうことです。費用を考えると必ずしも割安に買えるとは限りませんが、物件購入のひとつの方法として選択肢に入れておくとよいでしょう。
 

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