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民法改正で保証人制度が変わる?不動産投資への影響は?

2017年6月2日、改正民法が公布されました。約120年間ほとんど変わらなかった債権法に大きな変更が加わったということで話題になっています。施行されて効力を持つようになるのは公布から3年以内です。改正部分は時効、法定利率、保証、約款など多岐にわたりますが、そのうち不動産賃貸契約とローン契約に関係する保証人の部分について解説します。

家賃の保証人との契約には金額を明記

改正民法下では、保証人との契約上限を明記しなければならなくなります。入居者と賃貸契約をする際には、連帯保証人をつけてもらうのが通例です。この連帯保証人は「本人と同等の責任を持つ」と考えるのが一般的で、連帯保証契約にはその金額を明記することは、現行法下(改正前の現在)ではあまりありません。

例えば、本人が10万円の家賃を1年間滞納したら、120万円を連帯保証人にも請求できます。2年なら240万円です。しかし、これだとあまりにも連帯保証人の責任が重すぎるため、改正民法では個人による保証に関しては、責任を負う金額に上限を持たせなければならないとしています。このため、連帯保証人に「どれくらいの額まで請求できるようにするのか」を決め、「〇〇万円とする」「家賃の何ヵ月分とする」など契約書に記載しなければなりません。

この金額を目の当たりして、連帯保証人になることをしぶる人も出てくるかもしれません。連帯保証人が尻込みしないような金額を設定する必要が出てくることも考えられます。

貸事務所の保証人に対する情報提供義務

物件やお金を借りる本人(主債務者)が事業者、つまり貸オフィスや貸倉庫などで、保証人が個人の場合、2つの情報提供義務が生じます。1つ目は主債務者の財務の状況などに関する情報です。主債務者の決算書や他の債務(借金など)、担保などについて、保証契約をする際に保証人に伝えなければならなくなります。

この情報提供がなかったり、重要なところで間違っていたりすると、保証人は保証契約を取り消すことが可能です。貸オフィスの物件で、個人の連帯保証人をとる場合、入居者に関する上記の情報を提供しなければなりません。2つ目はローン契約に関するものです。期限の利益を喪失したときに、そのことを保証人に伝えなければならない義務があります。

期限の利益の喪失とは、主にローンを滞納したときなどに債務者が分割して支払うことのできる権利をなくし、債権者は一括で支払うように請求できるということです。これは賃貸借契約には関係ありません。しかし、連帯保証人を立ててローンを引いたとき、収支が悪化して数ヵ月滞納すると、期限の利益を喪失し、一括返済を求められるとともに連帯保証人にも請求がなされます。

そのとき、連帯保証人はいきなり請求されるのではなく、まず期限の利益を喪失した時点で連絡が来るということです。ただ、いずれにしても、滞納するかその前の段階で本人から連帯保証人に報告するべきでしょう。

公証人による意思確認

こちらもローン契約の連帯保証に関する部分です。事業性融資、いわゆるプロパーローンの連帯保証人には、公証人が直接保証人に保証の意思をしなければならなくなります。もし、保証人になるはずの人に保証の意思がないと公証人が判断したら、公証人は証書の作成を拒絶しなければならず、したがってその契約は成り立ちません。手数料は1万1,000円を想定しています。

しかし、この新しいルールは、本人や配偶者には当てはまりません。例えば、次のような場面が想定できます。法人を設立して融資を受け、本人の個人保証だけでは足りず、親に連帯保証人になってもらうことにしたとしましょう。このとき、本人に公証人による意思確認は必要ありませんが、親には必要が生じることになります。もし、親に保証の意思がないと判断されたら、保証契約は締結できなくなり、他の保証人を探す必要が出てくるのです。

法改正にも積極的な情報収集を

2020年4月1日までに施行される改正民法では、保証契約について多くの点が変更されます。保証額を明確にすることや、事業性融資における情報提供義務、公証人による意思確認などがあります。施行日や細かい実務上の対応など、積極的な情報収集が必要といえるでしょう。

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