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マンション経営の基本
2017/11/21

利回り計算 3つの考え方を身に付けて不動産投資を成功させよう

(写真=maroke/Shutterstock.com)
(写真=maroke/Shutterstock.com)
不動産投資は収益をあげるためにするものですから、利回りについてはシビアになる必要があります。マンション経営をするにあたって必ず押さえておくべき3種類の考え方を紹介しますので、気になる物件を見つけたら試しに計算してみましょう。あわせて、不動産利回りの相場や他に知っておきたい数値、高利回り物件の注意点についてもお伝えします。

利回りとは何か?不動産投資における3つの考え方と計算方法


利回りは投資効率を比較するための指標です。「物件価格に対して年間収入がいくらあるか?」という割合を表します。不動産投資の場合は「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」という3つが、よく使われる利回りの指標です。

● 表面利回り

物件価格に対する家賃収入の割合を表します。もっともシンプルで、投資用物件の募集図面によく掲載されている指標となります。管理料や税金などの必要経費は考慮されていません。年間の利回りを%で表すのが一般的です。「グロス利回り」とも呼びます。計算式は下記のとおりです。

(月額家賃×12カ月)÷物件価格×100=表面利回り(%)

例えば1,000万円の区分マンションで月間の家賃が5万円だとすると、表面利回りは次のようになります。

(5万円×12カ月)÷1,000万円×100=6%

表面利回りは物件を探すときに利用されることが多い指標です。使用例としては、不動産投資会社に「利回りが◯%以上の物件をお願いします」という具合です。投資物件の検索サイトでは、表面利回りが高い順に表示したり、範囲を指定して絞り込んだりすることが可能です。

● 実質利回り

表面利回りで計算される家賃収入から経費を差し引いた、いわば売上利益を表します。別の呼び方は「ネット利回り」です。分母は物件価格のみを使うこともありますが、購入諸経費を加えた購入価格を使ったほうが、より現実的な数値となります。物件の購入を検討する際には、表面利回りよりも実態に近い実質利回りを使ってください。

{(月額家賃-経費)×12カ月}÷購入価格×100=実質利回り(%)

経費には、固定資産税、都市計画税、管理会社に払う報酬などを算入します。区分所有マンションの場合は管理費と修繕積立金、1棟マンションの場合は共用部の電気代などが挙げられます。いわゆるランニングコストです。減価償却費など直接的な現金支出の伴わないものは含めません。購入価格に含めるものとしては、仲介業者への手数料、登録免許税、不動産取得税、司法書士への報酬、契約書の印紙税などがあります。いわゆるイニシャルコストです。

ちなみに諸経費としてかかる各種税金は固定資産税評価額をもとに計算します。年間の税率は都道府県によって異なりますが、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%、不動産取得税は1.5%(2018年3月31日までの特例税率)というのが標準です。登録免許税は全国一律で1.5%(2019年3月31日までの税率)です。1棟マンションの場合で、よりシビアに考えるときには、空室を想定して入居率90%で計算するなど、家賃を少なめに見積もります。管理報酬のように稼働の状況によって変動する費用もそれに合わせてください。

想定利回り

さらに利回りには、「想定利回り」と「現況利回り」の2つがあります。募集図面に記載される表面利回りは想定であることが多いのですが、現況についてもかかれていることがあるので、よくみてみましょう。想定利回りは、満室と仮定したときの利回りです。現況利回りはオーナーチェンジの物件で、実際に現在、所有者が入居者から受け取っている賃料をもとに計算します。表面利回りの項でみた区分マンションの例の場合、空室であれば想定利回りは6%、現況利回りは0%です。1棟マンションのように、一度に複数戸の物件を購入するときには、現況利回りがいくらなのかを知っておいたほうがいいでしょう。現況利回りを把握することで、当初の資金繰りを考える際の参考になるからです。

1棟マンションの事例でシミュレーション


それぞれの利回りについて、1棟ものの事例を用いて計算してみます。

総戸数14戸のRCマンションで、物件価格は9,500万円。賃料は1戸あたり5万2000円で、現況の入居数は12戸(2戸空室)。加えて駐車場4台分の賃料収入が月間5万8000円あります。固定資産税および都市計画税は年65万円、管理報酬は家賃の5%。その他諸経費が年間120万円と見込みます。

満室想定の表面利回りは次のとおりです。

<表面利回り(想定利回り)>
(5.2万円×14戸+5.8万円)×12カ月÷9,500万円≒9.9%

9.9%が表面利回りとなります。
現況利回りは次のとおりです。

<表面利回り(現況利回り)>
(5.2万円×12戸+5.8万円)×12カ月÷9,500万円≒8.6%

現況利回りは8.6%となり、想定利回りよりも1.3ポイント下がります。

しかし、重要なのは実質利回りです。まずは満室想定の場合からみていきましょう。

<実質利回り(想定利回り)>
・ 賃料
(5.2万円×14戸+5.8万円)×12カ月=943.2万円
・ 経費
65万円+943.2万円×5%+120万円=232.16万円
・ 利回り
(943.2万円-232.16万円)÷9,500万円≒7.5%

表面利回りの9.9%より、かなり低くなりましたが、まずますといえます。

最後に現況の実質利回りです。

<実質利回り(現況利回り)>
・ 賃料
(5.2万円×12戸+5.8万円)×12カ月=818.4万円
・ 経費
65万円+818.4万円×5%+120万円=225.92万円
・ 利回り
(818.4万円-225.92万円)÷9,500万円=約6.2%

実質利回り(現況利回り)では表面利回りとは大きな差が生まれることがわかります。当初はこの6.2%の中からローンを返済することになるので、差し引き現金収入は物件価格の1%~2%程となります。残り2戸の空室が埋まれば、資金繰りはだいぶ楽になるでしょう。

利回りの平均的な相場は?


利回りの考え方について、さまざまな計算方法があるという基本的なことはわかったことでしょう。しかし、実際に不動産投資を行うにあたっては、どれくらい数値を基準にすればいいのか気になるところです。参考になるデータとして、さまざまな統計が発表されています。

● 実質利回りは期待利回りを参考に比較する

一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査」では、不動産投資家や金融機関などへのアンケートをもとに、都市別・用途別に期待利回りを集計、発表しています。期待利回りは投資家が、不動産の特性や地域性などを考慮して、どれくらいの実質利回りが得られるかの基準としている指標です。「第36回不動産投資家調査」(2017年4月時点)によると、住宅(1棟マンション、ワンルームタイプ)の都市別利回りは5~6%です。東京城南地区と城東地区がそれぞれ4.5%と4.8%、大阪と横浜は5.2%と、都心部は低い傾向にあります。地価や物件価格、ランニングコストなどの高さが影響しているのでしょう。比較的高い地域としては広島6.1%、札幌6%などの都市が挙げられます。


(出典:一般財団法人日本不動産研究所「第36回不動産投資家調査」2頁)


半年前の2016年10月と比べると、名古屋と札幌の変動なしを除くと、各都市とも0.1~0.2%下がっています。特に東京の城南地区は2010年をピークに低下傾向です。用途別にみると、2017年4月時点でオフィスビルは東京の丸の内・大手町が3.6%と突出して低い数値ですが、東京以外の政令指定都市は住宅とほぼ同様の5~6%です。こちらも全体的に低下の傾向がみられます。ただ、空室率の改善や募集賃料の増額傾向を示す別のデータもあります(三幸エステート「Office Market」2017年10月)。資産運用の一貫として不動産投資に取り組もうという人は、実質利回りの基準を考える際、上記のような数値を参考にするとよいでしょう。

● 表面利回りの基準は?

表面利回りの平均は不動産投資物件検索サイト各社が発表しています。あくまでもそれぞれのサイトに登録された価格をもとにしたデータです。実際に参考にするかどうかは状況に応じて慎重に考える必要があります。検索時に物件を絞り込む際、平均値を知っておくと不動産投資の戦略がたてやすくなるでしょう。1社の情報だけでは偏っている可能性があるので、複数の情報を参照することが賢明です。

「楽待」を運営する株式会社ファーストロジックの「物件統計レポート」(2017年8月)によると、同社に新規掲載された物件の表面利回り平均は1棟アパートが9.54%、1棟マンションが7.91%、区分マンションが7.75%でした。健美家株式会社が運営する「健美家」の2017年9月「市場動向マンスリーレポート2017」では、1棟アパートが9.01%、1棟マンションが8.14%、区分マンションが7.78%と発表されています。表面利回りの推移としては、各統計とも2012年をピークに下落傾向にあります。2017年後半の平均的な表面利回りは、おおむね1棟アパートが9%台、1棟マンションが8%、区分マンションが8%弱です。これよりも高い物件は比較的高利回りである可能性があります。
 

(出典:「楽待」

 

(出典:健美家「市場動向マンスリーレポート2017」)2017年9月分)


● 全体的に利回りが低下傾向にある中で投資する理由

期待利回りと表面利回りの推移をみると、建物の種類にかかわらず、国内の不動産投資利回りは低下傾向にあるといえます。この状況下で、あえて取り組むことには大きなメリットがあります。利回りが低下するということは、物件価格が上昇しているということです。購入価格に対する賃料収入(インカムゲイン)が思わしくなかったとしても、将来的に売却利益(キャピタルゲイン)を手にする可能性があります。国土交通省が発表した「不動産価格指数」によると、区分所有マンション価格の全国平均は2013年1月から2017年1月にかけて約3割上昇しています。

(出典:国土交通省「不動産価格指数」)
※2010年平均を100としたときの数値

もうひとつは、世界の主要国と比べると日本の不動産市場はまだ割安だといえることです。少し古いデータですが、野村総合研究所が国際通貨基金(IMF)の発表をもとに作成した資料によると、2013年における東京のマンション賃料利回りは、台北、上海、香港、シンガポール、ニューヨーク、ロンドンなどを大きく上回っています。同資料では、「多くの国で住宅価格が過大評価されて」いるのに対して、「日本は対収入比率でも対賃料比率でも世界で最も過小評価されており、現時点においては、経済のファンダメンタルズから見て割安だと考えられる」と説明されています。常に最新の動向について確認する必要がありますが、海外と比べた現物不動産投資は日本で行うことに優位性があるといえるでしょう。

(出典:野村総合研究所「世界から見た日本の不動産投資の魅力」

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利回りから派生する各種指標


表面利回りと実質利回りについて紹介したところで、派生する他の指標についても簡単に触れます。

● 返済比率

年間の現金収入に対するローン返済額の割合を表したものです。利回りには現金収支(キャッシュフロー)の考え方は反映されていませんが、資金繰りで困らないために考慮する必要があります。特に「サラリーマンをリタイヤしたい」などの目的で生活できるだけの資金を賃料収入から確保しようとする人にとって重要です。計算する際には実質利回りで計算したNOI(月額家賃-経費)を使うことができます。

また、物件を買い増ししたい人にとっても重要となります。所有物件の返済比率が、新たな融資を受けられるかどうかの判断につながるからです。

例えば、月額家賃が30万円、経費が年間80万円、月々の返済額が15万円なら、返済比率は次のとおりです。

(15万円×12カ月)÷(30万円×12カ月-80万円)×100=約64.2%

返済比率は低いほど経営が安定します。50%を超えると、空室発生時や大きめの修繕が発生したときなどに持ち出しが出る可能性が高いので要注意です。

● キャップレート(期待利回り、還元利回り)

先ほど登場した期待利回りは、物件価格が割安かどうかを判定するのに利用することができます。計算式は次のとおりです。収益還元法といいます。

NOI(月額家賃-経費)÷期待利回り=基準となる価格(収益還元価格)

例えば期待利回りが6%の地域で、物件価格が4,500万円。月額家賃は40万円、経費は年間150万円を想定します。

・NOI
40万円×12カ月-150万円=330万円

・収益還元価格
330万円÷6%=5,500万円

収益還元価格5,500万円に対して物件価格が4,500万円なので、このケースの場合は割安と判断できます。ただし購入諸費用は考慮する必要がある点は注意が必要です。

高利回り物件は「買い」なのか?格安マンションの注意点


物件検索サイトをみていたり、不動産投資会社の紹介を受けたりすると、驚くほど高利回りの物件に出会うことがあります。しかし、価格が安いことには理由があるものです。「なぜその利回りなのか」という根拠を把握したうえで運用を検討する必要があります。特に金融機関の評価がよくない物件には要注意です。例えば、建築基準法の接道義務を満たしていないため、建物を取り壊した後に新築ができなかったり、現状よりも小さくしたりする必要があるケースがあります。傾向として多いのは、以前は適法だったものが、法改正によって違法となってしまう「既存不適格」と、そもそも「違法建築」だった場合の2種類です。いずれにしても金融機関の不動産評価は厳しいでしょう。中には仮審査さえしてもらえないこともあります。

需要が少ないエリアにも高利回り物件が現れることがあります。例えば、表面利回りは20%でも、全室空室であれば賃貸経営は厳しいものになります。他にも劣化がひどく相当の修繕費をかけなければならないものや、心理的瑕疵(かし。キズの意。不自然死があったなど)があるケースもあるでしょう。これらの要注意物件をつかまないためにも、実質利回りや収益還元価格で考えて不当に安い物件はその理由を明らかにすることが重要です。

利回り計算は不動産投資に必須のスキル


利回りの計算ができれば、物件がどれだけの収益を生んでいるのかをしっかりと数字で比較することができるようになります。募集図面で紹介されている数値は表面利回りが多い傾向です。しかし、賃貸経営を検討するのであれば実質利回りで考えなければなりません。また、満室を仮定した想定利回りと空室を考慮した現況利回りの違いにも注意を払う必要があります。日本の各都市で基準となる実質利回りは、住宅オフィスともに5~6%程度です。世界の主要都市と比較するとまだ割安といえます。利回り自体は低下傾向にありますが、不動産価格は上昇しているので、ケースバイケースでキャピタルゲインも狙える状況です。利回りが高い物件には、それなりの理由があります。適正な物件価格かを調べるために、表面利回りだけでなく実質利回りにも着目することが必要です。利回り計算のスキルをマスターすることで、よりいっそう不動産投資が身近な存在となっていくでしょう。

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