副業が禁止されている公務員がマンション経営をするときの注意点

給与収入が安定している公務員は不動産投資に向いています。しかし、1つ気になる点としては、マンション経営が副業禁止規定に違反しないかどうかということです。2017年8月に名古屋市交通局の男性職員が副業で民泊を行って減給の処分を受けました。さらに、2017年10月には大阪府警の女性職員がキャバクラに勤務して戒告の処分を受けるなど、公務員が副業を行って処分を受けるケースは後を絶ちません。一般に副業が禁止されている公務員ですが、マンション経営を行うことは副業禁止規定に違反しないのでしょうか。今回は、公務員がマンション経営を行うことのできる条件と、実際にマンション経営を行う際の注意点について解説します。

公務員の規定で禁止されている副業とは?

公務員には、大きく分けて国家公務員と地方公務員がありますが、それぞれ国家公務員法、地方公務員法に副業に関する規定が置かれています。

たとえば、国家公務員法では、103条で、営利企業を自分で経営したり、役員などに就いたりすることが禁止されているほか、104条で、営利企業以外であっても、報酬をもらって事業や事務に従事するような場合には、内閣総理大臣および所轄庁の長の許可を受けるべきことが定められています。また、地方公務員法でも、38条で、上記と同様の場合に任命権者の許可を受けるべきことが定められています。

つまり、国家公務員にしても、地方公務員にしても、副業を行うためには職場で許可を受けることが必要となります。このため、公務員は基本的に副業が禁止されているということができるのです。

どのような場合に公務員がマンション経営できるか

具体的に、どのような行為が副業に該当するかについては、人事院の規則や自治体独自のルールに従って判断されます。たとえば、不動産投資が副業禁止の規定に抵触するかどうかについては「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」に判断基準が示されています。

この規則では、不動産の賃貸が以下のいずれかに該当するときには、自営に当たるとしています。人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用についての第1項関係4の二(1)を見てみましょう。

・ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること
・ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること
・ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること
・ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること
・ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること

つまり、次のいずれかに当たる場合は、禁止されている副業にあたるといえます。
<物件の数>
・ アパートやマンション、一戸建て5棟以上
・ 区分所有マンションや一戸建て10戸以上
・ 貸土地の場合は10契約以上
<物件の種類>
・ 劇場や映画館、旅館やホテルなど

公務員の副業についてはこれらに該当するかどうかが判断基準となります。この基準は、所得税法で、不動産所得の対象となる不動産貸付が事業規模で行われているかどうかを判定する「5棟10室基準」にも似ています。つまり、その程度の規模があれば、公務員法上も自営として行っているとみなされるわけです。また、同規則第1項関係4の二(3)では、金額基準も設けられており、賃貸料収入の額が年500万円以上である場合は自営に該当するとされています。

以上をまとめると、公務員の不動産投資は、5棟10室の基準や年500万円の基準に満たなければ、そもそも副業とはされず、基本的に自由に行うことができます。これに対して、それらの基準以上となった場合には、職場のルールに従い、許可を得たうえでマンション経営を行うということになります。たとえば、区分所有のワンルームマンション投資で、月額賃料8万円の部屋を7物件運用している場合、5棟10室の基準には該当しませんが、年額の賃料が672万円(8万円×12カ月×7物件)になるため、年500万円の基準に抵触することには注意が必要です。

公務員がマンション経営をするにあたっての注意点

上記の「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」は国家公務員の規則に関する運用ルールであるため、地方公務員の場合は、各自治体のルールに従う必要がある点には注意しなければなりません。また、自衛隊法62条(私企業からの隔離)などのように、別途、特別法で副業禁止が規定されている場合もあるため、自身の職務に応じた法律の有無を確認しておく必要があります。

また、許可を得て事業規模のマンション経営を行う場合でも、そもそも公務員としての基本的な義務に抵触していないか注意する必要があります。つまり、国家公務員であれば、信用失墜行為の禁止(国家公務員法99条)、秘密を守る義務(同100条)、職務に専念する義務(同101条)などの義務を負っています。

たとえば、投資用のマンションであるにもかかわらず居住用と偽って住居手当をもらうことは、信用失墜行為にあたります。賃貸管理業務を自分で行っている場合、職務に専念する義務(同101条)に違反する可能性もあります。そのようなリスクを回避するためには、あらかじめ不動産管理会社に賃貸管理業務を委託するなどの対応が必要です。

それでは、公務員である自身ではなく家族名義でマンション経営すれば、これらの義務を免れるのでしょうか。実は、先ほどの「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」に答えがあります。同規則第1項関係の3に、他人名義であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合は自営に該当する旨が示されているのです。「李下に冠を正さず」の言葉どおり、疑念を招くような行為は極力排除するのが賢明といえるでしょう。

公務員がマンション経営をするときには規模と基本的な義務に注意

公務員がマンション経営をするときのポイントは以下のとおりです。

・ 賃貸物件の数が5棟未満かつ10戸未満
・ 賃貸物件がホテルや劇場ではない
・ 家賃年収500万円未満

あてはまらない場合は、上司に相談して許可を得る必要があります。

また、マンション経営の収支が気になって仕事が手につかないなど、「職務に専念する義務」のような基本的な義務に違反する行為もしてはなりません。
 

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