マンション経営のはじめかた 収益を生むまでの流れと主な手続き

マンション経営にはさまざまな取り組み方がありますが、一般的なサラリーマンや公務員がゼロからはじめるときの流れは、ほぼ共通します。株や投資信託などの金融商品と違い、単価が高い現物商品である不動産は、少し複雑な流れが伴うものです。人脈もノウハウもない状態からマンション経営で収益を生むまでの流れを紹介します。

セミナーや問い合わせなどで不動産投資会社を選ぶ

まずは書籍やインターネット、セミナーなどで勉強します。マンション経営には、キャッシュフロー管理のような経営的な知識と、土地や建物の構造など不動産に関する知識が必要です。なければはじめられないというものではありませんが、ご自身で判断できる知識を身に着けた方が成功する確率は高まります。書籍については不動産投資を実践している大家さんによる著書がたくさんあります。インターネットも質の高い情報が配信されるようになりました。投資用の物件を検索できる不動産投資のポータルサイトでは、著名な投資家がコラムを書いているものも多くあります。

知識以上に大切なのが、不動産会社とのつながりです。業者は売却することで手数料を得るビジネスモデルですから、中には収益が見込めないようなマンションを売ってまで利益をあげようとするところもあります。優良な物件情報を持ち、投資家目線でアドバイスをくれる信頼できる営業マンを味方につけるのが物件取得への第一歩と言えるかもしれません。セミナーに参加してみるのもいいでしょう。さまざまな不動産投資会社が単独で資産運用に関する無料説明会を実施したり、共同して展示場でフェアを行ったりしています。ポータルサイトの中にはセミナー情報を配信しており、地域や開催日などで絞り込むことができるものもあります。

不動産投資会社のインターネットサイトや店舗に訪れ、直接問い合わせをすれば、マンション経営を肌で感じることができます。数社と連絡を取り合ってみて、自分に合いそうだと思ったところと付き合うのもいいでしょう。業者にも得手不得手があり「管理業務がメインのところ」「入居者募集もできるところ」「リノベーションで物件の価値を高めるところ」などさまざまです。この会社と付き合うことでマンション経営に「どのようにプラスになるのか」を基準に考えるとよいでしょう。

取得する物件の条件を決める

不動産投資会社と連絡を取り合うようになると、希望に合う物件を紹介されるようになります。断るときにはその理由を明確に、わからないことは質問してください。反応は早くすればするほど、次にいい物件を紹介してもらえる可能性は高くなります。特に良い物件は引き合いが多く、成約までのスピードが早いので、動きの速い顧客は不動産業者から好感を得ることができるからです。担当者も人間なので、感じのいい人を接客したいと思うでしょう。また、どのような点が気に入らないのかをはっきりと伝えることで、「この人が欲しいのはどのような物件か」イメージしてもらいやすくなります。そのため不動産の条件は明確にしておくことが重要です。

● 予算は自己資金と属性で決まる

マンションを買えるだけの自己資金があれば別ですが、一般的には物件購入の際に金融機関から融資を受けることになります。大きく分けてアパートローンと事業性ローン(プロパーローン)の2つがあり、前者は住宅ローンと同じパッケージ商品です。年収や勤務先などの属性が融資額を左右します。後者は物件自体の価値やマンション経営の経験などが占める割合が大きく、どちらかというと実績がある人向けです。

住宅ローンの借り入れ可能額は上限が5,000万円~1億円程度、年収の5~6倍程度といわれることが多い傾向です。勿論、物件にもよりますが、アパートローンは上限がないものや数億円、年収の数十倍の借り入れができる可能性があります。金融機関に直接アポイントをとったり、不動産投資会社に紹介してもらったりして、自分の場合はどれくらいの資金調達ができるのか相談してみるといいでしょう。貯金のすべてを頭金につぎ込むようなことは望ましくありません。マンション経営には修繕や退居に伴う敷金の返金など、手元に資金が必要になる場面がたびたびあります。そのときにカードローンなどで資金調達をすると、余計な利息がかかってしまうため本末転倒です。

● 目的を明確にして利回りを決める

マンション経営をする目的は何でしょうか?「株よりも安全に債券よりも高い利回りで運用したい」「サラリーマンを辞め大家業で独立したい」など理由はさまざまです。いずれにしても、物件選定に利回りは大切な要素といえます。資産運用の一貫として行うなら純キャッシュ・フロー(手元に残るお金)を他の運用可能な金融商品と比べてみてください。ちなみに不動産投資信託の東証Jリート(REIT)における2017年9月末時点の予想年間分配金利回りは4.15%です。

「何歳までにいくら持っていたい」という希望があるのであれば逆算して利回りを決めます。金融商品のように単純にはいきませんが、理屈のうえでは10年で元本を倍にするためには複利で年約7.18%の利回りが必要です。サラリーマンをリタイアするために、家賃収入だけで生活していけるようになりたいというのであれば、相応の利回りの物件を取得するか、規模を拡大して資産と資金を増やしていく必要があります。

● エリアは地方か都心か

利回りが決まると、おのずと物件が所在するエリアが決まってきます。地方は価格が安く高利回りの物件が多い分、需要の見極めには注意が必要です。地域の空室率や人口構成などを参考に需給を判断することもあります。都心は需要が高いものの、価格も相応に高いので、利回りは低くなりがちです。金融機関によっては物件のエリアが限定されます。地方銀行でも全国対応しているところはありますし、東京近郊や名古屋市などの都市圏のみに限るといったところもあります。

マンション経営をするなら、「自分の目の届く範囲がいい」という人もいます。例えば「自宅から2時間以内に行ける場所」といった具合です。反対に、いい物件なら場所は問わないという不動産投資家もいます。DIYでリフォームをしたり、自分で入居者募集をしたりするなど積極的に動きたい人は近場に、そうでない人は、利回りや金融機関が指定するエリアを優先して探すことをおすすめします。

● 築古と新築、どっち?築年数の目安

築古物件は表面利回りが高い代わりに、修繕が必要だったり募集賃料を下げざるをえなかったりと予想外の出来事が起こることがあります。そのため多少の手間をかけても高利回りの可能性を追求したいという人は築年数が経過したものがおすすめです。一方、マンション経営に多くの時間をかけたくない人には、新築または築浅の物件が向いています。築古物件と比較し、新築または築浅物件は価格が高く、利回りは低い傾向がありますが、その分、長期の融資を組みやすく、家賃に対する融資の返済比率を低く出来る可能性があります。その他、入居需要が築古物件と比べると高く入居率が安定しやすい、突発的な修繕の発生が少ないなどのメリットがあります。逆に気を付けなければならないのが、家賃の新築プレミアムです。新築の時は多少、高めの家賃設定でも入居が見込めるかもしれませんが、一度、退去が発生し「中古物件」として扱われると高めの家賃では入居者が付かない懸念がありますので、家賃下落を見込んだシミュレーションが必要になります。

● 総戸数はどう考えるか。区分と一棟買いはどちらがいいか

総戸数は多ければ多いほど、スケールメリットが出ます。エレベーターや駐車場など共用部分の管理費を分散できるからです。ただし需要のないところに何百戸もの住居があっても入居者でいっぱいにすることは難しく、予算など他の条件との兼ね合いもあります。

あてはまる物件があったら現地確認する

条件を不動産投資会社の担当者に伝えたら、あてはまる物件を紹介されます。不動産投資ポータルサイトで見つけて問い合わせをするパターンもあるでしょう。なるべく早く現地の確認をしてください。募集図面の写真は、見栄えが良すぎることがあります。実際に現地におもむき損傷がはげしかったり、騒音や日当たりの問題があったりするなど、自分の目で確かめてください。環境の良くない物件だと集客に苦労します。

また、周辺に行くことは需要調査にもなります。「日中なのにあまりにも人通りが少ない」「空き家が極端に多い」「商店街がシャッター通りになっている」など、活気を感じられない場合は慎重に考える必要があります。周辺にあるマンションやアパートの入居率を調べるのも重要です。郵便受けの状態やカーテンの有無、ガス元栓の向きなどからある程度は判断できます。軒並み満室に近い状況であれば、優良物件となる可能性が高いといえます。

近所に再開発の予定や、そこまで大規模でなくてもスーパーができるなど利便性が高くなる動きがあれば、今後のマンション経営としては有利になります。物件周辺の情報を逃さないことも、チャンスをものにするためには重要なことです。騒音や入居者が嫌がりやすい施設(ゴミ処理場や危険物貯蔵所、暴力団の事務所など)がないかなどを含め、周辺の住人や商店の店員などに聞いてみることをおすすめします。近隣で賃貸仲介をしている不動産業者に入居募集がしやすい物件かどうかを聞くのも有効です。

買付証明書を出す

「気に入った」「融資も受けられそうだ」「買いたい!」ということになれば、買付証明書を出して購入の意思表示をします。仲介の不動産会社に書類をもらい、名前や住所を記入して不動産会社を通じて売り主に送るという流れです。複数の買付証明書が届いたら、売り主は、価格や他の条件などをみて買い主を決めます。必ずしも先着順ということではありませんが、早いに越したことはありません。行動力はマンション経営で成功するための大事な要素です。

基本的に提出した後はキャンセルができないと思ってください。あくまでも購入希望者の一方的な意思表示のため、撤回は可能です。しかし、不動産投資会社やローン審査を受けている場合は金融機関の信用を損ない、今後の物件購入に支障をきたすことがあります。融資特約は必ず入れておきましょう。ローンがおりなかったときにキャンセルできるという決めごとです。審査には数週間かかるので、結果が出る前に売買契約を交わすのですが、その後は撤回することができません。契約時に手付金を支払いますが、審査に落ちて購入できないということになった場合、手付金が返ってこなかったり、損害賠償を請求されたりすることがあります。これを防ぐのが融資特約です。

不動産投資ローン審査を経て融資を受ける

買付証明書を出したら、ローン審査を受けます。仮審査のあとに本審査という流れが一般的です。審査基準は金融機関によって異なります。アパートローンの場合は規定の基準を満たせば基本的には借りられますが、プロパーローンの場合は個別かつ入念に精査されますので、経営者としての考え方などもみられます。年収2,000万円の医師でも物件の評価が悪ければ融資がおりないこともありますし、年収300万円の自営業者でも不可能ではありません。審査にかかる期間も金融機関によって開きがあります。アパートローンに積極的な銀行では、翌日に担当者ベースで回答があり、1~2週間で決済されることもあるようです。

重要事項説明書をもらい売買契約を締結

ローンの結果を待っている間も、売り主との契約は進んでいきます。売買契約を締結する前に、仲介の不動産会社から重要事項説明を受けなくてはなりません。住宅を売買する際に宅地建物取引業者が行うよう、宅建業法によって義務づけられているのです。書面にしたものを重要事項説明書といい、代金や土地の権利、瑕疵担保などが記載されます。売買契約書を交わし、物件価格の10%程度の手付金を支払います。他にも物件価格によって3~5%の仲介手数料、契約書にかかる印紙税など現金が必要です。契約には融資特約が入っていることを必ず確認してください。

融資が実行され決済。同日に登記する

融資の審査が通ったら、金融機関の口座にお金が振り込まれます。売り主に残金を支払ったら、通常は同じ日に名義変更をします。法務局で登記という手続きをするのですが、司法書士報酬が数万円~数十万円かかります。登記を受けたら、物件は自分のものとなります。マンションオーナーになる瞬間です。

パートナーとなる賃貸管理会社を選ぶ。マンション経営者への第1歩

自分の物件を手に入れたら、そのときからマンション経営のスタートです。まずはこれから経営をともにする管理会社と契約します。売買の仲介会社にそのまま管理も依頼するパターンもあります。自主管理という方法もありますが、サラリーマンの副業として初心者が行うのは現実的ではありません。いつ発生するかわからない事故や苦情に逐一対応するのには、プロの協力が必要です。

管理会社が行う業務の範囲は契約によって異なります。入居者の募集や家賃回収の管理、修繕などのクレーム対応、滞納が発生したときの督促など、素人には難しいことまで対処可能です。業者に一括で物件を貸しつけ、また貸しするサブリースは管理料が高くなりますが、手間はかなり削減できます。売買の仲介会社と同じように、管理会社にも得手不得手があるので、数社と連絡をとって決めるのがいいでしょう。

マンション経営には人とのつながりと行動力が重要

マンション経営は、まず仲介会社との付き合いを深めて物件を紹介してもらうことからはじまります。その際にエリアや物件のタイプなどしっかりした判断ができるよう、管理や不動産などの知識を深めておいてください。現地確認は必ず行い、買付証明書の提出などは迅速に行いましょう。マンション経営は、不動産の知識もさることながら行動力がものをいいます。売買契約を結び、融資を受けられたら、代金の決済と物件の名義変更を行います。管理会社と契約をしたら、入居者募集または賃貸物件の管理がはじまります。ここでも優秀な業者の力を借りることが重要です。
 

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